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店長紹介
店長の 中鉢 晋 です
「チュウバチススム」と読みます。

高校・大学とマンドリン部に所属しておりました。
両方とも、2ndのパートリーダーをやっていました。
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マンドリンのカタログや仕様を見ていると、よく「リブ」という言葉を
目にします。リブは英語では rib と書きます。スペアリブの「リブ」
です。「あばら骨」のことですね。

英語の辞書を更に見ると、コウモリ傘の骨という意味もあります。
このことから、リブというのは、あばら骨状のことを指す単語であること
が分かります。

さて、パッと見、マンドリンには「あばら骨状」の部位はないように思え
ます。実は、「リブ」というのは、下の画像の赤い部分を指します。

 

例えば、アンナマリアやクラシコA、16bis、クラシコCはリブが
33枚。クラシコBが31枚。
No.15、No.13、No.26、No.24が25枚となっています。

さて、カラーチェマンドリンを作るには、まず、胴体部分から作ること
になります。洋なしを縦に半分に切った時の形状をイメージして下さい。




その「半分の洋なし」の形をした「母型」を、あらかじめ木材で作って
おきます。その「母型」に、リブ1枚、1枚を丁寧にかたどっていくんだ
そうです(下記画像)。

勿論、リブは木材ですので、そのまま簡単に「母型」に貼り付けることは
できません。ですので、熱くした鉄でリブ(木材)を曲げながら、根気
強くこの作業を続けることになります。



(画像出典;カラーチェHP)

リブは、まず真ん中の1枚を貼り付けます(下記画像の赤い部分)。
そして先端部を、細い釘で打ち付けて固定します。
その後、左右に1枚ずつリブを増やしていき、胴体の原形を形作ります。
この工程が上の画像になります。




ですので、リブ数は奇数になるんですね。

その後、ボディが「しっくり」した段階で、「母型」から注意深く、
リブの集まり(これをケースと言います)を切り離します。
ケースが、その形状をきちんと保てるよう、すぐに布きれや木くずで
整えていきます(下記画像)。



(画像出典;カラーチェHP)

よく見ると、この時点で、カラーチェのマンドリンであることを証明
する型番の紙が、張られていることがわかります。



カラーチェ・マンドリンの胴体部分に使われる木材には大きく2つ
あります。メイプル(白っぽい色)ローズウッド(黒っぽい色)
です。

アンナマリアやクラシコAでは、胴体部分にメイプルが用いられます。

美的な観点から、カラーチェマンドリンでは、リブにメイプルを使用
する場合には、それとコントラストをなすように、ローズウッド
細い板状に挟み込みます。




その逆で、16bisやクラシコC、No.26などのように、リブに
ローズウッドを用いる場合には、メイプルを細い板状に挟み込みます。




まさに職人のなせる業ですね。

ちなみに、リブは英語です。マンドリンの本場・イタリア語では、
doghe(ドーゲ)と言います。 dogheには、「棒」という
意味があります。棒状のものを何本もつなぎ合わせてマンドリン
の胴体を作り上げているということになります。

クラシコAやクラシコC、16bisのように彫り込みのあるリブは
doghe scanellate
、クラシコBやNo.15などの
ように彫り込みのないリブは doghe lisce と言います。

イタリアの伝統的なテラコッタに下の画像のようなタイプのものが
あります。これをスキャネラッタ(scanellatta)と言います。
これと同じように棒が立体的につなぎ合わさっているの状態が
doghe scanellate




それに対して、lisce には「滑らか」という意味があります。
クラシコBなどのの胴体は、まさに「滑らか」にリブがつなぎ合わ
さっています。

最後の方は、ちょっと理屈っぽくなってしまいましたが、その楽器が
初めて作られた国の言語で、用語を確認することには意味があると
思い、説明してみました。



マンドリンのリブ側が完成しました。
今度は、表板の部分の作業になります(下の画像の白っぽい部分)。




英語では「harmonic board」、イタリア語では
「tavola armonica」といいます。

単に「表板」というよりは、「音響板」と訳した方がいいかもしれません。
弦の振動をしっかりとチャージして、その響きを前方の空間に放つ
とても大切な部分です。

カラーチェマンドリンではすべての楽器で「ドイツ松」が使用されて
います。英語で pinewood 、イタリア語で abete と呼ば
れる木で、いわゆる「もみの木」のことです。
ドイツ松という名称ですが、ヨーロッパではよく見られる典型的な
針葉樹です。

なお、この木材は、イタリアのトレント地方のものが楽器には良いと
されていて、マンドリンやギターは勿論、バイオリンやチェロにも使用
されています。

因みに、バイオリンの名器・ストラディバリウスもトレント産の
abete rosso を使用しているということです。

rosso は 「赤い」 という意味のイタリア語



?では、表板(音響板)にドイツ松が用いられるところまで、お話しし
ました。 この木材は、針葉樹ですので、身が「締まって」います。
広葉樹だと年輪の間隔がかなり広いですが、針葉樹はギュッと締まって
ますね。寒い地方で育った木材なので、密度が高く、音の振動を伝える
には、もってこいです。

さて、この表板の作業も、なかなか手がこんでいるようです。まずは、
マンドリンの表板をよく見てみましょう。




画像にあるように、赤線の部分で、表面が角度をなしていることが
わかります。
普段、何気なく楽器を弾いているとこの傾斜に気付かないのですが、
言われてみると、傾斜しています。

カラーチェのHPによると、「安いマンドリンには表板が平らなものも
あって、その音色はマンドリンというよりはギターの音色に似ている」
ということが書いてあります。

この傾斜、大切なんですね。

さて、この傾斜に関しては、既に18世紀のマンドリンにも見受けられます。
下のマンドリンは1788年のものだそうです。



(画像出典;カラーチェHP)

1788年というと、日本はまだ江戸時代。
杉田玄白と前野良沢が『解体新書』を世に出したのが1774年。
江戸の三大改革のうち、2番目の寛政の改革が始まったのが1787年です。

この頃、既にヨーロッパではマンドリンが作られ、演奏されているんですね。
歴史を感じます。

さて、話を戻しましょう。

傾斜は、真っ平らな板(ドイツ松)を、リブの時と同様にして、熱くした鉄
で曲げていきます。この作業も根気が要ります。

因みに、この音響板の裏面は下のようになっています。



(画像出典;カラーチェHP)

そして、いよいよボディー(ケース)に表板を貼り付ける作業となります。



(画像出典;カラーチェHP)

よく見ると、右の画像の赤い部分にあるように、大工さんが家の柱を
組む時のような「デコ」と「ボコ」があります。こうやって、しっかりと
固定されていることが分かります。弦の振動をしっかりチャージして
反響させる部分です。

この音響板の作業にも、職人さんの思いが込められているんですね。


 

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